「ブラック校則」についての本ができました!

ブラック校則をなくそう!プロジェクトの調査をきっかけに本が出ました。

荻上チキさん・内田良さんの主筆に加え、私も「第5章 校則が及ぼす経済的な負担 」を書いています。

よろしければ是非お読みください。

ブラック校則 理不尽な苦しみの現実

子どもの貧困 ~未来へつなぐためにできること

足掛け3年もかかってしまいましたが、ようやく5月25日に私が書いた初めてのが出ます。

NPO法人キッズドアを2009年に設立してから10年間近く、私は子どもの貧困の現場を見続けてきました。

「勉強が苦手だが塾に行くお金がなから、高校に行けない子どもがいるなら、無料で勉強を教えてあげればいいんだ!」

と軽い気持ちで踏み込んだ、「子どもの貧困」の実態は、私の想像をはるかに超えた、理不尽で深刻な状況でした。

なぜ、こんなになるまで放置されてきたのか!という驚きを隠せません。

日本人は優しい、思いやりのある国民だと言われていますが、現場にいると「なぜ、このような状況を放っておけるのか?」と、怒りが湧いてきます。

「スマホを持っているから貧困ではない。」というような古い観念にとらわれた貧困バッシングや、「お金がないのは怠けているからだ。」という自己責任論は、「子どもの貧困」という社会課題の解決を妨げる最大の要因です。

実態をよく知らないままに投げかけられる言葉が、どれほど子どもたちやその親を傷つけているでしょう。

「日本の子どもの貧困」を解決する一番の早道は、今起こっている子どもの貧困の実態を一人でも多くの方々が理解することです。どなたにでも読んでいただけるように、できるだけわかりやすい言葉を選び、心を込めて書きました。

 私が出会った子どもたちも親も、皆大変な状況で頑張っています。みんなで子どもたちを応援するために、まずは手にとってお読みいただければ幸いです。

すべてのこどもたちが夢や希望をもって生きられる社会を目指して、これからも皆様と力を合わせていければと思っております。

 

<内容紹介>

きちんとした身なり、おしゃれな子もいる、清潔感もある。スマホも持っている。
でもお昼代は100 円、そして1,000 円の参考書が買えない。
ひと目ではわからない「子どもの貧困」はなぜ起きているのか…。

現在、日本の子どものおよそ7人に1人が貧困の状況と言われている。厚生労働省発表「子どもの貧困率」は2009 年の14.2%から2014 年には16.3%に上昇、そして多くのメディアが「子どもの貧困」を取り上げ、政府も緊急の課題として検討を進めている。

一見それとはわからない子どもの貧困。「自己責任論」などの安易な批判や「かわいそうな子どもたち」という福祉的観点で捉えるむきもある。しかしそれは近い将来、日本経済の破綻を招きかねない重大な問題であり最優先で取り組む課題である。

本書は子どもの貧困問題を生活保護など増大する福祉コストや高止まりする非婚率、少子高齢化等の社会問題と関連づけて考察し、また「子ども食堂」や「フードバンク事業」そして「無料教育支援」などの取り組みを紹介する。政府や自治体、企業、NPO、市民それぞれが問題解決のため何ができるのかを考える

【目次】
はじめに

第1章 「大学生って本当にいるんだ」
見えづらい日本の子どもの貧困
お昼代の予算は100円
お金かかるならいかない
眼鏡なんか買えない
大学生って本当にいるんだ
この子が今ここにいる事が奇跡みたいなもんだから
これって現実かな
今日、私、お誕生日なんだよ
今、白血病で入院しているんです
風邪で亡くなった母の気持ち
震災で家財を失い
兄弟が多くてすいません
お金がないならしょうがないのでしょうか?
お金がかかれば部活はできない
あなたのすぐそばに困っている子どもたちはいる

第2章 教育格差の実態
なぜこんなに成績が悪いのか
家に勉強する場所がない
すべての親が勉強を教えられるわけではない
夏休みなんて
多様化が進む家庭や親
お金がなくても本人が頑張ればどうにかなるのか?
15歳で将来をあきらめる子どもたち
教育格差が起こる原因
貧困の連鎖
本人の努力では格差は埋まらない
勉強の仕方そのものを知らない
暗記の仕方がわからない
情報やノウハウの欠落による誤った自己認識
高度化する情報社会を生きる子どもたち
プログラミング教育の可能性
貧困の連鎖を断ち切るために

第3章 現場で起きている奇跡
学校の先生、ダメじゃん
寄り添って教えてくれる誰か
「勉強を教える」ことの本当の効果
深刻なコミュニケーション機会の不足
相手の言っていることを理解する
非認知能力を育てる
勉強嫌いのレッテルを貼らない
発達障害や不登校と子どもの貧困
ボランティアが発見したつまずきの原因
貧困と不登校やいじめ
現在のキッズドア

第4章 私たちが大事にしていること
私がキッズドアを始めたきっかけ
最高の魚の釣りかたを教えたい
お金のあるなしと、人間の優劣は関係ない
教育にこだわる。結果にコミットする。
学力を上げるむずかしさ
学習日以外の準備が大事
それでも子どもは親を待っている
他機関との連携
ボランティアによる指導へのこだわり
片親だから行き届かないのか
ボランティアする側に回る
大学生の成長
この子と自分の違いに気づく
社会人との交流
ホームレスの人と話をすること
会社でえらくなって欲しい

第5章 子どもの貧困対策は「福祉」ではなく「将来への投資」
動き始めた子どもの貧困対策
少子化と子どもの貧困
まったなしの子どもの貧困対策
子どもの貧困対策は「福祉」ではなく「将来への投資」である。
国をあげて子育て支援の充実を
2050年、あなたは何歳ですか?
子ども・若者・子育て支援に資金を投入しよう
企業の積極的な参加を!
あなたも今すぐ行動をしてみませんか?
子どもの貧困の誤解は解けましたか?

著者について

千葉大学工学部出身。大手百貨店、出版社を経てフリーランスのマーケティングプランナーとして活躍。 配偶者の転勤に伴い、1 年間英国で生活、「社会全体で子どもを育てる」ことを体験。2007 年任意団体キッズドアを立ち上げ、2009 年内閣府の認証を受け特定非営利活動法人キッズドアを設立。同法人理事長。日本のすべての子どもが夢と希望を持てる社会を目指し、活動を広げている。内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議構成員、第9 期東京都生涯学習審議会委員、専修大学非常勤講師。「全国子どもの貧困・教育支援団体協議会」設立世話人・副代表幹事

子どもの貧困-未来へつなぐためにできること