子どもの貧困率の改善の裏で続く苦悩

2017年6月27日、厚生労働省より新たな子どもの貧困率が発表されました。2015年の国民基礎調査の結果です。

子どもの貧困率は、前回の16.3%から13.9%に改善しました。改善は12年ぶりであり、これは非常に喜ばしいことです。厚生労働省は「景気回復で子供のいる世帯の雇用者所得が増えたため」と分析しています。

ところが、丁寧に見てみるとそこに落とし穴があります。

これは、母子世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額の前回調査と比較したものです。日本の母子世帯の貧困率は、先進国の中でも非常に高い状況です。

確かに景気がよくなった結果、総所得は増えました。特に稼働所得は大幅に増えました。雇用所得はなんと3年間で41万円も増えています。
ところが、大きく減っている部分があります。年金以外の社会保障給付金です。例えば所得の低いひとり親家庭に支給される児童扶養手当などです。
つまり、一生懸命働くと、その分もらっていた手当が減ってしまうので、総所得はあまり改善しません。「働けど働けど生活が楽にならない」状況が出現しています。

なぜこのようなことが起こるのかというと、日本の子どもに関する社会保障の支給ラインがとても低いからです。

例えば児童扶養手当は就労等の収入が130万円を越えると減額が始まります。(子ども1人の場合)。
*厚生労働省HP:児童扶養手当の改正について

キッズドアの学習会に通うお母さんから、度々「給料がちょっと増えたら手当が減ってしまって大変なんです。」という話を聞きます。まさに、それが統計にも出ているのです。

貧困率は、高齢者世帯も育ち盛りの子どもを抱えた世帯も、一律の貧困ラインで算出されます。しかし、実際の生活を考えた時、どちらが生活コストがかかるかは誰でもわかるでしょう。
また、貧困率は所得ベースで算出されます。立派な自己所有の家をもち、貯金がたくさんあって日々の生活に困らない高齢者も年金などの収入がなければ貧困層に入る。一方、ダブルワーク、トリプルワークで働いてアパートの家賃を払いながら子育てしている方々でも、収入が貧困ラインを越えれば、貧困層には入りません。

貧困率という数字に惑わされず、生活実態をしっかりと見ていかないと、貧困問題は解決しないし、少子化も改善されないでしょう。

各種世帯の生活意識のアンケートでは、母子世帯は 生活が大変苦しい 45.1%、やや苦しい37.6%  、合計82.7%が生活が苦しいと言っています。児童のいる世帯全体でも61.9%は生活が苦しいと訴えています。

しっかりとした次世代を育てるために、これからもしっかりと子育て世帯を支えていくことが必要だと思います。