生活保護家庭に生まれたら「高卒で就職」という貧困の連鎖を止める第一歩

私も委員として参加させていただいた  審議会の議論を経て、生活保護世帯からの大学等への進学をすこしでも後押しする方向になりました。

https://mainichi.jp/articles/20171212/k00/00m/040/056000c

現在、日本の全世帯の大学等進学率73.2% 、生活保護世帯は33.1% です*1

生活保護世帯の子どもが、高校卒業後、大学や専門学校に行くことは、皆さんが考えている以上に非常に大変です。

まず、少し前まで、生活保護家庭の子どもは、高校をでたら、就職しなければなりませんでした。

生まれる時に親を選ぶわけにはいかないのに、生活保護家庭だと「進学ができない」に自動的に将来が決まってしまっていたのです。

さすがにこれは今の時代に合わないというので、「世帯分離」という制度ができました。

これは、同じ家に住みながら、大学進学する子どもは、制度上生活保護から抜けることで「高校卒業しても大学や専門学校に進学してもいい」という制度です。

誤解が多いのですが、

「生活保護を受けながら大学に行く」のではなりません。

本人が「生活保護を抜けて」自活をしながら大学に通うのです。

もちろん、学費も生活費も全額自分で払います。

生活保護の受給している親からは、もちろん学費や生活費の援助は一切ありません。

基本的には、ものすごく勉強をして学費免除などを取るか、貸与型奨学金を目一杯借りて学費を払い

さらに自分の生活費は、アルバイトなどでまかないます。

例えば、東京に住んでいる生活保護家庭の子どもが、家から通える大学や専門学校に通う場合には、

家を出て、新たに下宿などをするよりも、同じ家に住んで大学に通った方が生活が安定します。

これは、大学に通う子どもにメリットがあるのではなく

他の家族が安定するという点が非常に大きいと思います。

皆さんは子育て家庭で生活保護を受けているご家族とはどのようなおうちだと思いますか?

実はごく少数である不正受給のバッシング報道などのイメージがあるかもしれませんが、

私たちが知るご家庭は、母子家庭でお母様が働きすぎて体を壊していて働けない状態 だったり、障害のあるお子さんや介護が必要な親御さんなどを抱えどうしても十分に働けない子育て家庭など、家庭自体が、非常に不安定で皆でなんとか助け合って生活をしています。

大学や専門学校に進学するような優秀な子どもは、その家庭を実は「支えている」、家族から「頼りにされている」のです。

だからこそ、そのような子は、同じ家に残りながら家族を支えながら、大学や専門学校で学ぶのは合理的だと思います。

しかし、現在の「世帯分離」という制度では、その子一人は、世帯から抜けるということで、

その1人分の生活保護費(生活扶助と住宅扶助)が、ごっそりと減ってしまいます。

同じ家族が同じ家で、同じ生活をし、さらに一人の子どもは、大学や専門学校に通って学費や生活費がたくさんかかるのに、

収入が大きく減るという状況です。

私たちの学習会に通う子どもたちを見ていても、この制度を知って

「自分が苦労するのは構わないけど、家族に苦労をかけてまで大学には行けない。」

「やはり生活保護家庭の子どもが大学に行くのは、わがままなんですね。家族にしわ寄せがいく。」

と進学を諦めます。

こんな制度はおかしいと、私たちは「世帯分離」の制度の撤廃を求めていました。

今回、制度の撤廃までは至りませんでしたが、

住宅扶助の減額をなくし、さらに大学や専門学校に通う際に、進学準備のお金が一時金として支払われることになりました。

これに対しても、「税金を渡すなんておかしい。」という声も上がっているようですが、大きな誤解です。

生活保護を受けている家庭では、子どもは高校生の時に、大学や専門学校の生活に必要なお金を、アルバイトなどで貯金することはできません。

もし、それが見つかれば、「不正受給」とみなされ、稼いだお金を国に変換します。

生活保護を受ける家庭では、将来のために「貯金」をすることができないのです。

手持ち資金0円で、大学や専門学校に通えますか?

不可能ですよね?

家を出て、アパートを借りたり、最低限の家電品を揃えるにもお金がかかります。

そもそもアルバイトをしても、日払いのバイト出ない限り、お金がもらえるのは1ヶ月先です。

この1ヶ月、手持ちのお金がなければ、飢え死にします。

だからこそ、一時金が必要なのです。

ちなみに、この一時金は、生活保護家庭の子どもが、高校卒業後就職する際にももらえます。

高校卒業後、就職しても、進学しても、生活保護から出た直後に当座のお金が必要なのは同じなのです。

子どもは、自分の親を選べません。もしかしたらあなただって、生活保護家庭に生まれていたのかもしれません。

もしか知ったら、今日、あなたが事故にあったり、事件に巻き込まれたり、会社でひどいいじめにあって働けなくなって生活保護を受けなければならなくなるかもしれません。

その時、あなたは、自分の子どもに「高校を出たら働いてくれ。」と言えますか?

生活保護家庭に生まれた子どもも、将来の夢や希望を持って成長できるように

生活保護家庭の大学進学をバッシングせず、ぜひ応援してください。

年末までに あと100件のマンスリーサポーターを!

 

いつも応援ありがとうございます。

もう11月も最終週、いよいよ今年も終わりますね。1年が早いです。

無料学習会の子どもたちは、春先とは比べ物にならないぐらい勉強に集中できるようになっています。中学3年生は、志望校も決まり頑張っています。
高校3年生は、AO入試で合格した生徒や保護者からの喜びの声も届いています。
頑張った子どもたちからの報告を聞くのは、活動の何よりのエネルギーです。

一方、私たちはこの時期、「この学習会は来年は続けられるのか?」 と、毎年頭を悩ませています。

キッズドアが自主事業としてお金を集めてやっている受験対策の無料学習会や、高校中退してしまった生徒のための居場所事業など 不安定な資金で行なっている事業は、次年度の資金の目処を立てなければなりません。

「来年もよろしくお願いします」と生徒からも保護者からも言われているので、絶対になくすわけには行きません。

この助成金に落ちたらどうしよう?と毎年不安を抱えながら今の時期を過ごしています。

だからこそ、毎月一定の金額をご寄付いただけるマンスリーサポーターは、 キッズドアにとって、継続的な資金が見込める、本当にありがたいご寄付です。

今年も、まだ来年の継続が見通せない学習会がいくつかあります。

マンスリーサポーターが100 人増えると、一つの学習会を1年間継続していく目処がたちます。

新年には、子どもたちに

「今年も勉強頑張ろう!」

言ってあげられるように、12月31日までに、なんとか100人のマンスリーサポーターを集めたいと思っています。

マンスリーサポーターは月々1000円から、ご協力いただけます。
ぜひ、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

マンスリーサポーターのお申し込みはこちら
http://www.kidsdoor.net/supporter/ 

 

税金控除を受けてのご寄付をご希望の方は、ぜひ、公益財団法人信頼資本財団の共感助成をご利用ください。ご不明な点は遠慮なくお問い合わせください。

みなさまの応援を、何卒よろしくお願いいたします。

今年も残りわずか、みなさまも悔いのないように毎日大事にお過ごしください。

全世帯型社会保障と教育無償化についての現場からの考察

新政権が発足しました。幼児教育無償化、教育無償化、など少しずつ全容が見えてきましたが、今ひとつ現場実感と合っていないので、もし、私が総理だったらどうするか、という視点で考えて見ました。

まず、課題の整理です。

1)少子高齢化に寄る人口減少

少子化では、稼ぐ人が急激に減っていき、年金制度を筆頭に現在の社会保障制度が成り立たなくなるというのが大きな問題です

高齢化に関しては、ベビーブーマー世代が後期高齢者に入り高齢者のボリュームが増えること、加えて一個人としてみると長寿化で年金で支えなければならない期間が増えるという課題があります。つまり、年金受給者が増える&一人当たりの総年金受給額も増えるという状況です。そしてこれは年金だけではなく、医療費も生活保護等の高齢者の社会福祉ににかかる費用においてすべて同じです。Wパンチ、トリプルパンチどころか、ボコボコの状態です。

日本の財政の1 /3は社会保障ですが、社会保障費のうち 35%は毎年高齢者に支払っている年金の不足分に使われており、さらに30%は医療費ですがその多くは高齢者の方の医療費です。とかくバッシングされる生活保護費は8%ほどしかありませんし、実は生活保護煮しめる高齢者の比率も高いのです。

つまり、日本の社会保障は、高齢者世代に偏っており、子育て世代などの現役世代への給付が少なすぎるのです。子育てや失業者のための就労訓練など若者にほとんど使わないので、本来もっと社会保障を配分していれば伸びるであろうGDPを失っていると考えられます。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2015pdf/20150302089.pdf

一足早くこの状況に陥っている多くの地方では「地方消滅」と言われていますが、今の状態を放置すれば間違いなく「日本消滅」です。

このように、日本の人口構成に関する大きな課題があります。

 

2)教育に関する課題

さらに、日本は世界で最も優れた教育を提供している国だという幻想を抱いている方も多いようですが、教育に関しては2つの大きな課題があります

A  教育費の自己負担が高すぎるため少子化の原因となっている

B  教育の内容が古く、学校の体質改善も進まないため、「学校」のみの教育に限界がきている

それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

 


A  教育費の自己負担が高すぎるため少子化の原因となっている


これは、税金を教育に投じていないからであり、特に未就学児(幼児教育)と高等教育(大学や専門学校など)の学費が高すぎるという課題があります。子育てや教育にお金がかかるために子どもを産むのをやめる、本当はもっと欲しいけど一人しか産まない、というような状況になっており、教育費の自己負担の高さは、少子化の最大の要因です。

ちなみに、保育園が足りないために子どもを産まない、という状況も生じており、これも少子化や女性の労働生産性向上という観点で大きな課題です。保育園の整備に関しては、高齢化や教育問題と比較すると非常に解決しやすい課題でもあり、(高齢者の医療費の自己負担率を上げるとか、年金支給を75歳にするとかに比べれば)、効果も高いので最優先で取り組むべきでしょう

 

■全世帯への幼児教育無償化は必要か?

幼児教育無償化に関しては、高所得世帯も含めて一律に無償化にするべきかどうか、という議論があります。

幼児教育無償化推進派の意見を整理すると、幼児期に非認知能力(忍耐力やコミュニケーション能力など)を上げる教育投資が成人後最も自立して稼いでいるという投資効率の良さの研究(ジェームズ・J・ヘックマン https://store.toyokeizai.net/books/9784492314630/)がその主張の根拠になっています。

しかし、それは、幼児教育の重要さを訴えたものであり、無償化を必須とするわけではありません。すでに4歳児で95%以上、5歳児では98.5%が幼稚園か保育園に通っている現状では、幼児教育は行き渡っていると考えていいのではないでしょうか?ヘックマン理論によるのであれば、幼児教育への投資は、無償化ではなく、さらなる教育の質の向上に使った方が将来のリターンは大きくなるでしょう。私個人としては、幼児教育無償化の前に、保育園の整備や保育士不足解消への予算振り分けの方が優先度は高いと思います。

 

■幼児教育と高等教育のどちらを先に無償にするべきか?

少子化対策の観点から幼児教育無償化か、大学や専門学校等高等教育の無償化のどちらが効果が高いでしょうか?

これについては、明確な比較は見つけられませんでしたが、私が教えている大学の学生に聞いて見たところ、高等教育無償化に軍配が上がりました。正直自分の子育てを考えて見ても、子どもが小さいうちは食事の量も少ないですし被服費や教育費もそれほどの負担は感じませんでした。が大きくなるにつれ、食事の量も増えますし、学校の制服や部活の道具、さらに塾などの学校外教育費などとてつもない額のお金がかかります。今、「お金がかかるから子どもを産まない」と言っている層も、「幼稚園や保育園に通わせるお金がない。」と出産を控えるのではなく「将来、大学に行かせてやれるかわからない。」から出産を控えているのではないでしょうか?

こう考えると、幼児教育無償化よりは、給付型奨学金の大幅拡充や学費の減免など高等教育無償化をしっかりと作り上げた方が少子化対策効果は高いと思われます。

 

■全世帯の幼児教育無償化は格差を広げる可能性がある

現在検討されている2019年度から段階的に、0~2歳児は低所得層限定で、3~5歳児は全世帯を対象に無償化する方向で調整が進んでおり、さらに財源の不足から保育料負担の高い認可外保育園が無償化から外れる可能性も出てきました。

現在保育料は、所得の高い家庭の保育料は高く、所得の低い家庭は保育料負担も低く抑えられています。つまり、3〜5歳児の保育料を全世帯無償化すれば、高所得家庭の保育料負担が減るだけで、税による「所得の再分配」機能と全く逆のことが起こります。

認可に入れず、やむなく認可外の保育園に入れて働くしかない中低所得家庭が10万円近い保育料負担をしなければならないのに、保活を頑張った高所得家庭の保育料が税金で負担されるというのは、納得しづらいものがあります。

政府が最優先で行うべきは、全世帯の保育料無償化でなく、待機児童の解消であり、女性が安心して子どもを産んで働ける社会の実現だと思います。

 

■幼児教育無償化に関するまとめ

少子高齢化の解決策として幼児教育無償化を行うのであれば、あえて多額の税金を投入して幼児教育を無償化することが、少子化対策に繋がるのか、の検証が必要です。3~5歳児の幼児教育無償化には8000億円がかかるとの推計がありますが、これだけの費用をかけて何を成果とするのか、はしっかりと明示する必要があると思います。少子化対策のためならば、幼児教育の無償化よりも待機児童問題を優先し、余った予算は、少子化の大きな要因となっている高等教育の無償化に振り向けるべきでしょう。

もちろん、お金がたくさんあるのなら、幼児教育も無償化した方がいいに決まっていますし、子ども保険のような新たな財源で幼児教育無償化を目指すのであれば、それも良い考えだと思います。

何のための施策で、それによりどういう成果を求めるのか?さらにそれが本当に成果に上がるのかの調査などをしっかりと行う。例えば、20代〜40代のこれから出産する可能性のある方々に、

1)待機児童の解消  
2)幼児教育無償化 
3)大学等高等教育の無償化 
4)児童手当の増額(現在月1万円を倍額に) 

について、優先順位を聞いてみるような意向調査は有効だと思います。

 

 

 

■大学無償化に関して

まず、高等教育無償化なのか、大学教育無償化なのか?が明確になっていません。「大学等」となっていますが、専門学校という記述は見られないので、おそらく、大学や短大などに限定される可能性が高いと思います。

高校卒業後、2割弱の生徒は専門学校に通います。また、日本では高所得世帯ほど大学進学率が高いため、専門学校に通う子どもの家庭の所得は中低所得の割合が多いと思われます。高等教育無償化を考えるときに、専門学校が対象に入るのかどうかは、大きな問題です。私個人としては、専門学校に通う生徒にも無償化または一定の学費補助などを行うべきだと思います。

 

■実は大学無償化ではなく所得連動型奨学金の導入である

11月2日に発表された自民党の案では、保護者の所得に関わらず、国立大学を全て無償化し、私立大学は国立大学の学費分と同じ額を無償とし、不足分は無利子の奨学金を用意するという形です。しかし、報道を見る限りでは、大学卒業後一定の収入を得られれば返還すると言うことです。つまり学費無料ではなく「所得連動型奨学金」と言われる新しい奨学金システムを導入すると言った方が正しいのではないでしょうか?

*所得連動型奨学金http://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/type/1shu/shotokurendo.html

 

自民党の教育再生実行本部(本部長・馳浩元文部科学相)案を検討すると、学費負担の難しい中低所得家庭の子どもは、所得連動型奨学金と貸与型奨学金の2つの奨学金を背負うことがスタンダードになるようです。社会に出た途端に、借金漬けというイメージは、少子化をさらに加速させるのではないでしょうか?

 

■国公立大学の一律学費無償化に関して

そもそも、学費の安い国公立大学の学費を無償にする必要があるでしょうか?多くの国公立大学では、すでに、低所得家庭の学生のための学費免除制度があります。キッズドアでボランティアをしてくれる学生にも学費免除の生徒がいます。

東京大学に通う保護者の平均年収が1000万円以上と言われるように、今や国公立大学への進学者は、私立高校からの進学割合が高く、「苦学生」のイメージとはかなり違います。そもそもセンター試験&2次試験の対策は高校生への負担が重く、予備校などに通う方が圧倒的に有利です。低所得家庭でアルバイトもしなければならないような高校生にはかなり難しいのです。

国公立大学は一律無料にすれば、高所得家庭に税の再配分をすることになります。さらに、その高所得家庭の学生も含め一律、将来働いて学費を返還する、つまり所得変動型奨学金で負担を自分の未来に先送りすることは、結婚や出産を躊躇させ、少子化をさらに加速させることにもなりかねません。また、所得連動型奨学金はしっかりと経済成長が見込める国ならば、インフレーションにより相対的に借りている奨学金の負担は減りますが、低成長が続く現在の日本の状況では、それも見込めないため、若者にとっては望ましい学費無償の形態ではないと考えます。

 

■所得に応じた学費の導入

財源が限られる中、大学の学費は、一律に無償化するのではなく、給付型奨学金のように、どのような所得層の子どもも躊躇せずに大学進学を選べる道をつくる方が相応しいと思います。

例えば、所得連動型学費制を導入するのはいかがでしょうか?年収1千万円以上なら満額、それ以下は半額、600万円以下は無料などというように、家庭背景に応じた配慮を行うのです。これなら、学生が将来の返済の負担を感じることもありません。

 

■少子化対策として多子家庭には大胆な配慮を

少子化対策として大学の学費を考えるのなら家庭の所得や子どもの人数に応じて、収めるべき学費が決まる「多子割」というような考え方が有効だと思います。少子化の大きな原因は、「子どもが増えると大学に行かせてやれないから、本当は、2人、3人子どもが欲しいけれど、1人しか産まない。」という高等教育をきちんと与えてあげられるかどうかの不安だと思います。

国公立大学の学費は、子どもが一人しかいない家庭は満額、2人兄弟なら半額、3人以上なら全員無料にするなど、子どもが多くいる方が得をする制度設計にすれば、もっと、子どもを産もう、という人も増えるでしょう。

 

 


B  教育の内容が古く、学校の体質改善も進まないため、「学校」のみの教育に限界がきている


■高等教育無償化の前にやるべきこと

現在の日本の教育は非常に大きな課題を抱えていますが、それは、幼児教育と大学教育の無償化ですべて解決するのでしょうか?私は大学無償化の前に、教育の質や学校システムの疲弊については、今すぐに取り組まなければならないと思います。

まず、公立小中学校の基礎教育の担保がなされていません。小学校も中学校もきちんと通っていたのに、九九ができない、英単語を全く覚えていない中学3年生がいます。

 PISAの学力テストでいまだ学力上位であるとメディアには流れますが、それは学校の教育力を表しているのでしょうか?

 今では小学6年生の通塾率は47.3%、中学生にいたっては61.1%です。

塾というと成績が悪い子が通う補習塾というイメージをお持ちの方も多いでしょうが、いわゆる受験塾と言われる塾に通っている子の成績が高くなっています。学力テストの成績上位者は学校の教育成果というよりは塾の教育力によるところも大きいのではないでしょうか?小中学校の時代から塾などの学校外教育に通えない子は不利があります。低所得家庭に塾代を補助するような自治体も出ていますが、現実的に格差を埋めるためには、塾等の学校外教育の機会均等をどうするのか?という大きな課題があります。

 

■21世紀を生きる力の教育は誰が行うのか?

さらに、学校教育の中身は長らく変わっていませんが、社会で求められるスキルは大きく変わっています。私は自分を含め、公立中学校、高校の授業だけで英語でコミュニケーションが取れるようになった人に、まだ出会ったことがありません。英会話スクールに行ったり、留学をしたり、と学校外で英語のコミュニケーションを習った人がほとんどではないでしょうか?

ますますグローバル化するこれからの時代に、低所得家庭の子どもは英語力で大きなディスアドバンテージがあります。加えてITも低所得家庭の子どもはスキルを身につけられません。小中学校のIT室は立派ですが有効に使われているとはいいがたく、自宅にパソコンがない子どもは、そもそもITに触れる機会がありません。就職のエントリーシートや大学のWeb出願はもちろん、インターネットを使いこなして必要な情報を取り、色々なことを学ばなければならないのに、その入り口に立てない状況です。

 

■全子育て世帯へのネットインフラの無償化を!

私は、キッズドアの活動を始めた時から、子育て世帯のネット回線の無料化を提案しています。パソコンの価格は安くなりましたが、月5000円程度のネット回線料はとても高く低所得家庭には無理です。インターネットには、無料の動画教材や英語学習の教材がたくさんありますが、そもそもそこにアクセスできないのです。原物支給として回線を渡すことで、子どもの未来は大きく変わると思います。

低所得家庭の子どもや、塾や英会話教室、ITスクールなどがない地方のこどもは、公立小中高校の教育しか受けられないところが、最大の課題だと思います.

キッズドアでも、英語やITや起業教育などの新しいコンテンツを無料で提供することに挑戦しています。しかし、ひとつのNPOができることは限られており、早急に国の方針を決めるべきだと思います。

例えば、ほぼ全ての小中学校にあるIT室を、図書室のように放課後解放し、そこに、大学生のボランティアや引退したビジネスマンがいて、子どもたちにパソコンの正しい使い方を教えるような取り組みは、すぐにでもできるのではないでしょうか?

 

■すべての子どもたちが21世紀に必要な教育を受けられる環境整備を

少子化対策としての「学費負担の軽減としての高等教育無償化」と、教員の負担増、いじめや自殺の問題、さらに全国民への基礎学力(読み書きそろばん)が担保されない現状など、すでにシステム疲弊が限界にきている公立小中高校の立て直しは、分けて考えられるべきです。そして、両輪をしっかりと動かして行かなければなりません。やみくもに大学教育無償化を進めれば、教育投資にお金を注ぎ込める家庭の子どもだけが、国公立大学の無償化恩恵を、さらに自分の21世紀型スキル(英語やIT)に注ぎ込み、中所得以下の国民の大多数は、アップデートされない学校教育を受けざるを得ず、ますますグローバリズムから置いて行かれるという悪循環が生まれ兼ねません。

すべての子どもが、最低限の学力保証(読み書きそろばん)と共に21世紀に必要な教育を受けられる環境整備を最優先で行うべきだと思います。

 

■目的と資金配分についての早急な検証が必要

何よりも懸念されるのは、あまりにも拙速に「教育無償化」という言葉が一人歩きし、様々な施策が実施されようとしている点です。確かに消費税を上げることで2兆円という財源ができるかもしれませんが、十分な教育無償化を行おうとすれば、すでにそれだけでは足りないことがわかっています。限られた財源をいかに有効に教育投資に、少子化対策に振り向けるのか?それについては、もう少し丁寧な議論が必要ではないでしょうか?

これは、単に幼稚園・保育園の月謝や大学の学費を無償にするというような単純な話ではありません。塾、英語などの語学、ITスキルやプログラミング教育、様々な体験活動など、重要性が増している、現在はほとんど税が投入されていない学校外教育を、日本の教育体系の中でどのように定義するのか?の議論は必須だと思います。

闇雲な教育無償化が、教育のさらなる混乱や格差拡大に向かわぬよう、ぜひ慎重な検証をしてほしいと思います。

 

9月1日に自殺注意報を出すことの無念

今日は2017年8月31日。夏休み最後の日であり、明日から新学期が始まる学校も多いです。

9月1日は、1年間で1番子どもが自殺をしてしまう日だそうです。

だから、最近は、9月1日の前になると、「死んではいけない。」と色々な団体や個人が発信するようになりました。私も、昨年もそして今年も、FBに投稿しました。

しかし、よく考えると、これはとてもおかしなことではないでしょうか?

今の子どもたちにとって、学校はどんな場所なのでしょうか?

最近は、いじめ自殺のニュースにも社会全体が慣れてしまっているように感じますが、昔もこんなにいじめで子どもが自殺していたでしょうか?

学校が始まる日に子どもの自殺が多いから「この日は自殺に注意しましょう。」と、自殺注意報を出し、緊急避難場所を子どもに知らせることは、目の前の命を救うためにやむを得ないのかもしれません。しかしそれが定着すれば、「学校というのは子どもが自殺したくなるほど嫌な場所である。」ということを社会全体が容認することになるのではないでしょうか?

そんな場所で、子どもは学べるのでしょうか?

私は、今年、厚生労働省の第7回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」の委員に選んでいただき参加しています。色々な課題がありますが、就労していない方に就労自立をしてもらうことは大きな柱です。

昨日8月30日の審議会では、生活困窮の場面で活躍されている団体の方々が現場でのお話をしてくださいました。

たくさんの生活困窮の事例のお話をきく中で、あることに気がつきました。みなさん、学校でつまづいてしまっている方が多いのです。そしてそれは、私たちが貧困家庭の子どもたちの学習支援をしていてもとても感じていることです。いじめ体験や、先生の心無い言動で自尊感情を大きく傷つけられている子どもがとても多いのです。

「厚生労働省の審議会には関係ないかもしれませんが、学校教育の現場で、もう少し多様な個性を認めることが大切ではないでしょうか?全ての子どもが『元気で明るくハキハキとした良い子像』を目指すのではなく、喋るのが苦手な子も、黙々と作業をするのが好きな子もいて、それぞれがお互いの良いところを認め合うというようなことを、先生もお友達も保護者もしっかりと合意することが重要だと感じました。」

と発言しました。

審議会の最後に、成年ひきこもり支援の団体の方が

「私たちは、成年のための居場所を運営していますが、そこを『育ち直しの場』と言っています。昔は学校は、子どもの安心な居場所だったのですが、今では逆に学校に行くことで傷つく子どもがたくさんいます。」

とおっしゃいました。

審議会終了後、その方とお話ししたのですが、

「本来はこの場所に文部科学省の方もいて、学校教育の現場でいじめを無くしていかなくては、この問題は無くなりません。50歳になってもいじめられたことを訴えるのですよ。」

とおっしゃっていました。同感です。

生活困窮の根っこ、働けない苦しさの根っこが、学校という場から始まっているとしたら、まずはそこに手をつけるべきではないでしょうか?

9月1日に、いかに自殺注意報を子どもに届けるのかを考えるのではなく、日本中全ての子どもが「明日から学校だ!」と、ちょっとウキウキするような、そんな社会を作らなくてはいけないのだと思います。

 

 

 

 

 

夏休みに、英語の苦手を克服したいすべての中高生に!

夏休みが始まりました。
「夏休み、苦手な英語をなんとかしたい!」と思っている中高生や、
「子どもの英語嫌いをなんとかしたい!」と考えている親御さんも多いのではないでしょうか?

市販の問題集や参考書、塾の教材ではさっぱり英語がわからないという方のための、究極のキッズドアオリジナル英語テキストの販売を開始いたしました。すいませんが、初回先着800セットのみです。キッズドアが低所得の中学生のための無料学習支援を始めて8年目。今までのノウハウをつぎ込んだ、キッズドアオリジナルの英語のテキストです。

 

 

◾️なぜ英語ができないのか?

私たちは2010年より、中学生向けの無料学習会をやっていますが、半分以上は「英語との戦い」です。ほとんどの生徒が英語を超苦手で大嫌いなのです。なぜ、彼らは、こんなにも英語ができないのか?それをじっくり観察して作ったのが、このテキストです。

英語が苦手な生徒を観察して、今の英語教育の重大な欠陥に気がつきました。英語が苦手な生徒は、「英語とはどんな学問か?」という最も大事なことを理解していないのです。「英語の勉強」の全体像がわからないために、頭の中がモヤモヤしてしまっているのです。

◾英語は語学。「国語」の勉強とは全く違います。

英語の苦手な生徒を教えていると、しばし出てくるのが
「あー、もう英単語覚えるなんて無理。」
という言葉です。

英語は語学。突き詰めれば、知らない国の言葉の意味と、その使い方(文法)を覚えて使いこなす学問です。

数学は、公式や計算方法を覚えて、それを使って考えて答えを導き出します。国語は、文章を読んでその意味を考えます。それが勉強だと思っているのです。自分は英語の「公式」や「気持ちの読み取り方」を知らないから、英語ができないのだと勘違いしているのです。そのコツがわかれば、英単語なんて覚えなくても英語ができるようになると思っているのです。単語を覚えなくても、ワークやドリルを真面目にやれば英語ができるようになると思っているのです。

英単語を覚えなければ英語は絶対にできるようになりません。本当は、学校で一番最初に、「英語の勉強は、日本語以外の違う言語使えるようになることが目的です。だから、単語の意味を覚えましょう。」と生徒に教える必要があります。そして英単語の覚え方を教えてあげなければ、生徒はどうやって英単語を覚えればいいのかわかりません。ところが、どうやらそういう一番大事な部分が、今の教育カリキュラムではすっぽりと抜けているのです。

単語だけではありません。そもそも、文法とは何か?ということがわかっていません。その言語を使う上でのルールですよ、こういう文法がありますよ。と全体像を見せてから、個別の文法に入ったほうがいいと思うのです。いきなり疑問文の作り方を教えられても、よほど頭のいい子以外は理解できません。

多くの生徒さんは、英単語の覚え方を知りません。人間の脳の構造上、読めないものは覚えられません。単語を覚えるために20回も書いているのに
「これなんて読むの?」と聞くと読めないのです。読めないと、覚えらえないよ、ということを知りません。

日本の英語の教科書を見て、インターナショナルスクールの語学の先生が
「日本は本当にこの教科書で英語を教えているのか?本当に?これじゃ英語ができるようにならないのも当然ね。」
と言われたことがあります。

同じく、アメリカ暮らしが長く、奥様がアメリカ人で私立小学校の英語の先生をしているという方が
「なんで、日本では、エービーシーというアルファベットの名前ばっかり覚えさせて、ア、ブ、クという読み方は、全く教えないのかね。あれじゃ読めるようにならないよね。」
と言われて、目からウロコが落ちました。

中高生の皆さんが、英語が全く理解できないのは、皆さんが悪いのではなく、どうも中学校での英語の教え方が良くないのだと、私たちは考えました。

そして、誰でも英語がわかるようになるために作ったのが、このテキストです。うちの英語が苦手な中学生に向けての3日間の講習で使ってみたところ、劇的な成果を上げました。

キッズドアの学習会に通う生徒さんの分以外に、800セットほど余分に作りました。これをみなさまにお分けいたします。申し訳ありませんが、売り切れ次第終了です。

夏休みに英語嫌いを克服したいすべての中高生、そして大人の皆様に、ぜひ、これを使ってみてください。

 

▪️テキストの詳細はこちら

https://peraichi.com/landing_pages/view/kidsdoorenglish

子どもの貧困率の改善の裏で続く苦悩

2017年6月27日、厚生労働省より新たな子どもの貧困率が発表されました。2015年の国民基礎調査の結果です。

子どもの貧困率は、前回の16.3%から13.9%に改善しました。改善は12年ぶりであり、これは非常に喜ばしいことです。厚生労働省は「景気回復で子供のいる世帯の雇用者所得が増えたため」と分析しています。

ところが、丁寧に見てみるとそこに落とし穴があります。

これは、母子世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額の前回調査と比較したものです。日本の母子世帯の貧困率は、先進国の中でも非常に高い状況です。

確かに景気がよくなった結果、総所得は増えました。特に稼働所得は大幅に増えました。雇用所得はなんと3年間で41万円も増えています。
ところが、大きく減っている部分があります。年金以外の社会保障給付金です。例えば所得の低いひとり親家庭に支給される児童扶養手当などです。
つまり、一生懸命働くと、その分もらっていた手当が減ってしまうので、総所得はあまり改善しません。「働けど働けど生活が楽にならない」状況が出現しています。

なぜこのようなことが起こるのかというと、日本の子どもに関する社会保障の支給ラインがとても低いからです。

例えば児童扶養手当は就労等の収入が130万円を越えると減額が始まります。(子ども1人の場合)。
*厚生労働省HP:児童扶養手当の改正について

キッズドアの学習会に通うお母さんから、度々「給料がちょっと増えたら手当が減ってしまって大変なんです。」という話を聞きます。まさに、それが統計にも出ているのです。

貧困率は、高齢者世帯も育ち盛りの子どもを抱えた世帯も、一律の貧困ラインで算出されます。しかし、実際の生活を考えた時、どちらが生活コストがかかるかは誰でもわかるでしょう。
また、貧困率は所得ベースで算出されます。立派な自己所有の家をもち、貯金がたくさんあって日々の生活に困らない高齢者も年金などの収入がなければ貧困層に入る。一方、ダブルワーク、トリプルワークで働いてアパートの家賃を払いながら子育てしている方々でも、収入が貧困ラインを越えれば、貧困層には入りません。

貧困率という数字に惑わされず、生活実態をしっかりと見ていかないと、貧困問題は解決しないし、少子化も改善されないでしょう。

各種世帯の生活意識のアンケートでは、母子世帯は 生活が大変苦しい 45.1%、やや苦しい37.6%  、合計82.7%が生活が苦しいと言っています。児童のいる世帯全体でも61.9%は生活が苦しいと訴えています。

しっかりとした次世代を育てるために、これからもしっかりと子育て世帯を支えていくことが必要だと思います。

 

 

「あったものをなかったものにできない。」からもらった勇気

前川前文部科学省事務次官が、加計学園をめぐる文書で記者会見をされた。

様々な憶測が流れていて、何が真実か見えづらい。

 

実は、前川氏は、文部科学省をお辞めになった後、私が運営するNPO法人キッズドアで、低所得の子どもたちのためにボランティアをしてくださっていた。素性を明かさずに、一般の学生や社会人と同じようにHPからボランティア説明会に申し込み、その後ボランティア活動にも参加してくださっていた。

私は現場のスタッフから「この方はもしかしたら、前文部科学省事務次官ではないか」という報告は受けていたが、私が多忙で時間が合わず、また特になんのご連絡もなくご参加されるということは、特別扱いを好まない方なのだろう、という推測の元、私自身は実はまだ一度も直接現場でお目にかかったことがない。

 

担当スタッフに聞くと、説明会や研修でも非常に熱心な態度で、ボランティア活動でも生徒たちに一生懸命に教えてくださっているそうだ。

「登録しているボランティアの中で唯一、2017年度全ての学習会に参加すると○をつけてくださっていて、本当に頼りになるいい人です。」

と、担当スタッフは今回の騒動を大変心配している。年間20回の活動に必ず参加すると意思表明し、実際に現場に足を運ぶことは、生半可な思いではできない。

今回の騒動で「ご迷惑をおかけするから、しばらく伺えなくなります」とわざわざご連絡くださるような誠実な方であることは間違いがない。

 

 

なんで、前川氏が記者会見をされたのか?

今、改めて1時間あまりの会見を全て見ながら、そして私が集められる様々な情報を重ねて考えてみた。

これは、私の推察であり、希望なのかもしれないが、彼は、日本という国の教育を司る省庁のトップを経験した者として、正しい大人のあるべき姿を見せてくれたのではないだろうか?

 

私は今の日本の最大の教育課題は「教育長や校長先生が(保身のために)嘘をつく」ことだと思う。

いじめられて自殺をしている子どもがいるのに、

「いじめはなかった」とか

「いじめかそうでないかをしっかりと調査し」

などと、校長先生や教育長が記者会見でいう。

「嘘をついてはいけません。」と教えている人が、目の前で子どもが死んでいるというこれ以上ひどいことはないという状況で、明らかな嘘をつく。

こんな姿をみて、子どもが学校の先生の言うことを信じられるわけがない。

 

なぜか学校の先生には、都合の悪いことが見えなくなる。周りの生徒が「いじめられていた。」と言っているのに「いじめ」ではなく、「友達とトラブルがあった」とか、「おごりおごられの関係」になったりする。

それは今回の、あるはずの文書が「調査をしてみたが、見つからなかった。」であり、「これで調査は十分なので、これ以上はしない。」という構図とよく似ている。

 

自分たちの都合のいいように、事実を捻じ曲げる。

大人は嘘をつく。

自分を守るためには、嘘をついてもいい。正直者はバカを見る。

 

子どもの頃から、こんなことを見せられて、「正義」や「勇気」のタネを持った日本の子どもたちは本当に、本当にがっかりしている。何を信じればいいのか、本当にわからない。

小さなうちから、本音と建前を使い分け、空気を読むことに神経を尖らせなければならない社会を作っているのは、私たち大人だ。

 

 

「あったものをなかったものにできない。」

 

前川氏が、自分には何の得もなく逆に大きなリスクがあり、さらに自分の家族やお世話になった大臣や副大臣、文部科学省の後輩たちに迷惑をかけると分かった上で、それでもこの記者会見をしたのは、

「正義はある」

ということを、子どもたちに見せたかったのではないだろうか?

 

「あったものをなかったものにはできない。」

 

そうなんだ、嘘をつかなくていいんだ、正しいものは正しいと、間違っているものは間違っていると、多くの人を敵に回しても、自分の意見をはっきりと言っていいんだ。

 

子どもたちとって、これほど心強いことはない。

 

「正義」や「勇気」のタネを自分の心に蒔いて、しっかりと育てていいんだ。

どれほど心強いだろう。

 

 

今回の記者会見は、前川氏にとっては、何の得もないが、我々日本国民には非常に重要な情報である。報道によれば、くだんの大学のために、37億円の土地を今治市から無償譲渡し、96億円の補助金が加計学園に渡る計画だという。

もし、大学が開学すれば、さらに毎年国の補助金が渡ることになる。

 

96億円の補助金とはどれぐらいの額だろうか?

昨年、私たちを始め多くの団体やたくさんの方々の署名によって実現した給付型奨学金の年度予算は210億円だ。一人当たりの給付額も少ないし、人数もとても希望者をカバーできるものではない。なぜ、こんなに少ないのか?というと、「国にお金がないから」という。

 

お金がないのに96億円、土地も合わせれば136億円もの税金を投じて、新たに逼迫したニーズを見られない獣医学部を作るお金を、給付型奨学金に回したほうがいいのではないだろうか?

 

前川氏の記者会見は、このような税金の使い道について、もう一度国民がしっかりと考える機会を作ってくれた。

 

今、憲法改正による教育無償化がにわかに浮上している。私は教育無償化に賛成だ。いや、賛成だった。

しかし、大学の設置や補助金に信頼性が置けない現状では、憲法を改正してまで教育無償化を急ぐことに、大きな疑念が生じている。

結局、あまり市場ニーズのない、教育力のない大学等に、「子どものため」と言って税金がジャブジャブと投入され、子どもは質の良い教育を受けられない状況は変わらずに、一部の人だけが豊かになる。

そんな構図が描かれているとしたら、恐ろしいことだ。

 

これが事実かどうかは、わからない。しかし、そんなことを考えさせてくれる。

 

記者会見は、前川氏や彼の家族にとってはいいことは何もないが、本当は必要のない大学に多額の税金が使われるという、大きな損失を防ぐかもしれない。そのために、彼は勇気を出し正義を語ったのではないだろうか?

 

「あったものをなかったものにはできない。」

 

何が真実なのか、私たちはしっかりとこれからも探求していかなければならない。

 

今後、どのように動くのか全くわからないが、私たちは、文部科学省というこの国の教育を司る省庁のトップに、強い正義感と真の勇気を持った素晴らしい人物を据える国であり、時に身を呈して、国民のためにたった一人でも行動を起こす、そんな人が政府の中枢にいる国だということは間違いない。

 

*前川氏がボランティアされていたことをブログに書かせていただくことは、弊団体広報を通して事前にご本人に確認をとっております。

仙台市中2いじめ自殺をスルーしてはいけない

仙台市で中学生のいじめ自殺が続いている。
これだけ続くということは、市の教育委員会の対応が根本的に違っていると思わざるを得ない。
たくさんある子どもの自殺の一つとして、このまま消えてしまうのは、あまりにも悲しすぎる。

電通女性社員過労自殺で、今社会の働き方は大きく変わろうとしているし、社長は辞任、上司は書類送検など責任も明確になっている。
この女性社員の命も一つなら、仙台市でなくなった中2男子の命だって一つで、同じ重さのはずである。

子どもが自殺することに、社会はもっともっと、大騒ぎをしなければならない。
「クラスメートを失った生徒やいじめていた当事者の子どもに配慮をして、そっとしておく」
というのは事実が明るみに出ては困る大人の詭弁にすぎない。
クラスメートが、同じ学校の生徒が、一番しっかりと事実を知りたいのだ。
何が悪かったのか、じっくりと向き合わなければ、この先長い人生を歩いていけない。

ネットの記事からの推測にはすぎないが、この生徒は、学校のいじめ調査に窮状を訴えていたのに、学校側はほとんど何もしていない。
担任の先生が、いじめであるにも関わらず、いじめられている生徒にも悪い点があったというような指導をしたそうだ。

いじめられている子にとって、友達からのいじめよりも辛いのは、いじめを学校側が知っているのに何も対応してくれないことだ。学校に、先生に伝えたのにいじめが解消されないなら、学校にいる間はずっとこれが続くという絶望しかない。
だから死を選ぶのだ。学校側の責任は重いと思う。

過去にもいじめ自殺があったにも関わらず、現場の先生がいじめへの対処の仕方を全く身につけていない点は、過去幾多のいじめ自殺がなんの教訓にもなっていないということだ。誰かが責任を取らなければならない。
電通は民間だから社長が責任をとり、学校や教育委員会は誰も責任を取らないというのはおかしい。
その甘さが、学校現場でいじめへの対応スキルが、ちっとも上がらない根本的な原因だと思う。

記者会見をして謝罪をして、あとはうやむやにすればいい、という問題ではない。

大事な命が一つ失われたのだ。

先日の雪崩にしろ、いじめ自殺にしろ、学校という教育機関が子どもの命を、一人一人の子どものことを本当に大切に考えるているのか?と疑わざるを得ない事件が続くのは本当に残念である。

これが、このまま「よくあること」として消えないように願うばかりです。
自ら命をたった子のために、何ができるのか、全ての大人が考えなければなりません。

進次郎頑張れ!!私は「こども保険」を全力で応援します

小泉進次郎衆議院議員が、自民党の「人生100年時代の制度設計特命委員会」の事務局長に就任された。小泉氏は将来の社会保障制度について、「高齢者偏重を是正し、真の全世代型にする」と述べている。

小泉氏の一押しは『こども保険』だ。
こども保険とは、社会保険料率を0.1%上乗せすることで3400億円を確保し、未就学児に1人当たり月額5000円を支給。将来的には上乗せ分を0.5%に引き上げて1兆7000
億円を確保し、保育・幼児教育を実質無償化する制度だ。(参照:時事ドットコム

私は常々、現状の日本では幼児教育無償化よりも、高校生世代への支援(児童手当の18歳までの延長)や高等教育(大学や専門学校)の給付型奨学金充実や教育無償化が必要と訴えている。しかし、それでもなお、こども保険大賛成だ。こども・若者にお金を使ってくれるなら、幼児教育無償化でもなんでもいい。妊婦から30代のフリーターまで、とにかく資金を投入して「安心してこどもを産み、育てられる国」にしなければならない。

「そうだよね、このままだと将来大変だよね。」と思いがちだが、将来の話ではない。間違いなく「今」の問題だ。
少子化では出生率が話題になるが、実は出生数が重要である。出生率が多少増えても、母数となるこどもを産める世代の数が縮小していくので、こどもの数は激減する。15歳未満の年少の人口は12.4%、75歳以上の後期高齢者が13.3%と完全に逆転した。高齢者は増え続け、年少者は減り続ける現実から、すべての国民が目をそらしてはいけないのだ。

■こども保険に反対する人は、頭が悪いとしか思えない。

こども保険には反対意見も多いそうだ。
「子どもがいない人からも保険料を取るのは不公平」
「子どもはいるが保険料を払わない人にも給付するのか?」

バカじゃないかと思う。

今の現役世代はもちろん、子どもや若者は、絶対自分が払った分は取り戻せない年金を納めることを強いられる。
国の財政支出の3分の1を占める社会保障費のうちの44%は年金と介護で完全に高齢者のためのものであり、さらに30%を占める医療費の大部分は高齢者の医療費だ。社会保障に占める高齢者向け支出は7割とも8割とも言われる。バッシングされる生活保護費は社会保障費全般の9%しかなく、しかもその半分は65歳以上の高齢者である。
参考:平成27年度社会保障関係予算(厚生労働省)

自分の親がいない児童擁護出身の孤児も、すでに両親がいない若者も、見ず知らずの高齢者のために多額の年金と税金を納めているのだ。

「子どもがいない人から保険料を取るのは不公平」なら「親がいない現役世代から年金や税金を全額取るのは不公平。7割引にするべき。」となる。

高齢者は自立できないから社会で支えなければならないのなら、少なくとも18歳以下の子どもだって自立できない。社会で支えなければならない。これは当たり前のことで、日本以外の世界中の多くの国が、子ども手当を充実させて、教育の無償化を実現している。
日本だけが「好きで子どもを産んだのだから、自分で育てるべき。」と自己責任論が未だに大手を振って歩いている。だから、子どもを産めないのだ。

2015年度補正予算で低所得の年金生活者に1人3万円の臨時給付金を配った。財源は3400億円。私たちをはじめ多くの関係者がたくさんの署名を集めやっと実現した給付型奨学金は、年間たった210億円だ。全国民から集めた税金を高齢者には気前よく3400億円を配るかたわら、次の世代を担う子どもには、こども保険のわずか0.1%も払いたくない。

狂っているとか言いようがない。
日本人とはそのような国民なのか?

超高齢化が進む中で、シルバーポリティクスは進む。高齢者は確かに自分たちが苦しむ道を示す政治家に1票を投じないかもしれない。高齢者の票を失うリスクをとっても、日本の将来のために「高齢者偏重の是正」を訴える小泉進次郎議員を私は全力で応援する。

もっと言えば、全ての候補者がちょっと考えれば、今、何をするべきかは見えているはずである。全ての候補者が「高齢者偏重の是正」を訴えればその争点は消える。その中でなおも「高齢者にお金を配ろう」という候補者は、日本の将来よりも、目先の選挙のことしか頭にない証明であり、そういう人物が政治家としてふさわしいかどうかは明白である。

「人生100年時代の制度設計匿名委員会」事務局長となった小泉進次郎議員を全力で応援する。この国の未来のために、次世代を担う子ども・若者のために、進次郎頑張れ!

=お願い=
私が運営するNPO法人キッズドアでは、低所得世帯の子どもたちへの無料学習支援を行なっています。
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「日本のこどもを支援したい」という多くの大学生や社会人のボランティアが、1000人以上の子どもたちの学びを支えています。また、活動は皆様のご寄付に支えられています。新年度が始まり、まだまだボランティアも寄付も足りません。ぜひ、ご協力ください。

http://www.kidsdoor.net/supporter/

 

感情論に走る前に大学教育がどれだけ日本経済に寄与するかを冷静に判断するべきだ —中国が教育に力を入れている理由

文責:渡辺由美子(2017/2/2)

2017 年 1 月 31 日、日本初の給付型奨学金の創設が決まった。支給額は月額2~4万円、対象は約2万人。

現在、貸与型奨学金を借りている大学生は 130 万人を超えるので、2万人という規模は寂しいばかりであるが、それでも、給付型奨学金ができたのは大変喜ばしいです。

1月の安倍総理の施政方針演説でも、「どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校にも、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。」と、述べていらっしゃいます。
私もその通りだと思います。

それに対して、1月26日の予算委員会で民進党代表代行の細野豪志議員が、生活保護家庭の子どもが大学進学をしやすいように、世帯分離をやめましょうと訴えてくださっています。 (この問題に関してはNPO法人フローレンスの駒崎さんの投稿に詳しいです。

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これに対しては、賛否両論があります。否の方は「そうは言っても、生活保護を受けずになんとか少ない収入でやりくりしている家庭もたくさんある。家庭の支援を一切受けられずに、たくさんアルバイトで頑張っている生徒も多い。そういう学生に比べて、生活保護家庭の学生に優遇しすぎではないか?」

というものです。貧困バッシングに他なりません。

みなさん、ちょっとメガネが曇っちゃっていますよ。 “感情論に走る前に大学教育がどれだけ日本経済に寄与するかを冷静に判断するべきだ —中国が教育に力を入れている理由” の続きを読む