キッズドア応援クラブメンバー企業インタビュー<第2回>】

株式会社 浪忠
代表取締役  奥井 利貞 氏

材木の販売から、家具や什器、スペースデザインまで

弊社は、1966年に大阪で材木を販売する奥井材木店として開業し、材木の販売をメインにずっとやってきました。時代の流れに伴い、建築資材だけではなく、木材を加工して様々なものに発展させ、現在では一般家庭で使う注文家具や商業施設の什器、スペースデザインやリノベーションなどを手がけるようになりました。

木材はヨーロッパ産が70%, 国産が30%ですが、最近は日本のものの比率があがってきており、いずれは半々にしていきたいと考えています。

日本は国が主導してきた植林がありますが、内地産の木を商品化してもコストがかかりすぎて販売が難しいのが現状です。国は補助金を出し、内地産の材木や間伐材の使用を奨励しています。

木材だけでは販売が難しくても、加工したり空間での利用などさまざまな方法を駆使して国内産の供給を高めようと努力しています。
 

今の日本にお腹をすかせた子どもがいることに驚く

キッズドアについては、たまたまネットで検索をしていて知りました。

“日本の子どもの7人に1人が貧困”
これを見て、「こんなにいるんだ!」と衝撃を受けました。全く知りませんでした。それをきっかけに関心を持つようになり、いろいろと調べるようになりました。

ご飯をお腹いっぱい食べられない子と直接会ったことはありませんし、6畳一間で家族4人や5人で住んでいて、子どもが勉強する場所がないという話を聞いても、全く想像できませんでした。それ、昭和の話じゃないのか、と。

息子が小学校時代の交友関係にもそれらしき人について全く聞いたことがありません。

でも、そうじゃない子どもが存在する。じゃあ、どうすればいいか。

自分自身、子どもはもっと欲しいという気持ちもあったので、東北の震災のとき、親が被災して身寄りのなくなった子の一時里親に応募しようと考えたこともあります。ちょうど息子が小学校低学年で、息子も成長するかもしれないと思ったのですが、実際にはいろいろな点で実現できませんでした。

その頃から、自分の子と他人の子を分けて考えることはなかったですね。自分のなかでは、子どものためにできることは何か、同じ意識でした。
 

支援する相手が見え、支援した実感を感じる

子どもへの支援に関心がありましたから、以前ユニセフに寄付したことがあります。
ただ、ユニセフほど大きな団体だと、お金の流れがよく見えない。誰にどのように支援しているのかがピンとこないし実感がわかない。

そんなときに、村上世彰さんの本を読んだんです。村上さんは、自ら財団を作り、活動内容や理念に共感できる相手に直接お金を渡して支援をしています。

自分が寄付するなら、相手が見え、自分がやったことに対して、ある程度、実感が持てるところに寄付したいと思ったんです。

そんなときに、ちょうどキッズドアを知りました。

キッズドアは、日本の経済的に厳しい家庭の子どもたちという対象もはっきりしているし、無料の学習支援という手法も非常に具体的。また、活動報告会やチャリティ・パーティなどのイベントで、支援している相手である子どもたちの様子を知ることができますし、支援に携わっているスタッフやボランティアさんに会って話も聞けます。

支援相手や支援者と接する機会があって実感がもてることが寄付しようと思ったひとつの理由です。支援の相手や内容が見えれば、自分が何をすればいいか、具体的に考えるきっかけができることがいいなと考えました。
 

少子化解消のためのアクションとして

今、日本の人手不足は深刻です。

弊社もおかげさまで年々業績を伸ばしていますが、その分、人材不足が常態化しています。5年ほど前までは募集をかけるとすぐに応募がありましたが、ここ数年は年々厳しくなっています。

他の中小企業も同様で、1人採用するのに広告費に100万円くらいかけるのは当たり前の状態になっています。どの会社も求人倍率は非常に高く、低いところでも2、3倍、IT系だと8、9倍という話も聞いています。

求人をかけても工場や配送などの業務は若い人に敬遠され、応募者は年配の方たちが多い。20代、30代が欲しいのですが、この層が全然いないんです。そもそも、その層の人口が少ないんですね。

日本の少子化は深刻です。子育てにはお金が必要、だから産まない、産めないという社会自体に問題があると思います。経済的な保障や親だけにかかる子育ての負担を少なくするような社会体制を整えれば、子どもを持ちたい、産みたいと考える人も増え、少子化も解消するのではないでしょうか。

キッズドアの活動は、整っていない社会体制の一部分を担っているのだと思います。

本来、国や行政が政策立案し、社会体制を整えていくのでしょうが、時間がかかります。子どもたちはすぐに成長してしまいますので、待っていられません。

そういった体制を整えるには何をすればいいか、ずっと考えてきたのですが、キッズドアのように社会に足りない部分の活動をしている団体に支援するのが、企業としての一歩ではないかと考えました。

どんな団体でも、経営はしないといけないし、活動を継続させるという社会的責任があります。

子どもたちを支援したいという意志がある人、子どもを支援する仕事に魅力を感じてくる人がいても、ずっとボランティアでは活動は続きません。支援するスタッフたちの生活が安定していないと、支援する子どもにも影響が出ます。

企業が寄付することでスタッフを支え、子どもたちにも安定した支援が継続できるのではないかと思います。
 

子どもにとって必要な場所が増えてほしい

経済的に厳しい環境の子どもたちは、何を求めているんでしょうか。
大きい家が欲しいのか、勉強部屋が欲しいのか。そうではないと思います。

家が大きい小さいは関係なく、昔は近所にいろいろな人がいて、おっちゃんやおばちゃんと雑談して家や学校とは違う話を聞いたりして、お菓子をもらって帰ってくるという環境がありました。さまざまな人とのふれあいは、子どもにとって、とても大切なことなんだと思います。

大人でもすぐに家に帰りたくないときがある。「どこかいこか」となりますが、子どもにとって、それがキッズドアなんではないでしょうか。

キッズドアの学習会に行くといつも誰かがいて、勉強する場所だけれど勉強しろしろばかりはいわれないし、学校や部活の話をしてもいいし、将来の相談なんかもできる。ときにはご飯も一緒に食べる。そういった、家ではない居場所があることが、子どもにとってとても重要なんだと思います。

歳を重ねると、初対面の方でも少しお話しただけで、「この人は、こういう人なんだな」と、なんとなく想像できるようになりましたが、子どもの場合は何も見えてこない。つまり、真っ白なんですね。どんな方向にでもこれから進んでいけるわけです。どんな子に会っても、「この子は、これからどうなっていくんだろう」ととても関心があります。子どもって、本当に面白いですよね。いろんな可能性を秘めていますから。

ぜひ、近いうちに実際に子どもたちと会ってみたい。仕事が忙しくて、東京に行っても時間がないのが残念です。

キッズドアの学習会を大阪に作ってください。そうすれば、もっと私にできることがあるんじゃないかと思います。
大阪といわず全国展開してください!
そして、もっと多くの子どもたちの素敵な未来を支えてください。

株式会社 浪忠

住所:大阪府堺市堺区南島町4丁148-4
電話:072-225-5800
公式HP:http://www.namichu.co.jp

 

(2018.11.19  interviewed by Mika Okamoto)