▼平成がのこした宿題「子どもの貧困」~なぜ見過ごされてきたのか~
(NHKハートネット 2019年05月16日)
「子どもの貧困」という言葉を耳にしたことがある人は少なくないと思います。しかし、一見豊かにも見える日本で、子どもの7人に1人が貧困状態にある、というのはどういうことなのでしょうか。バブル崩壊とともに始まった「平成」は、雇用保障や社会保障の変化が進む中で格差が広がり、貧困が固定化した30年でした。その影響から、いま日本では7人に1人の子どもが「相対的貧困」の状態にあると言います。長い間、子どもの貧困が見過ごされてきた現状とその背景を振り返ります。
平成の30年間で貧困率が上昇 遅れた対策
これは、平成28年に厚生労働省が発表した「子どもの貧困率」のデータです。日本の子どもの貧困率は30年間で上昇を続け、平成27年には13.9%まで下がったものの、いまだにおよそ270万人の子どもが貧困状態にあります。
実は、ここで使われている貧困率のデータが初めて世間に認識されたのは平成21年(2009年)のことでした。グラフには、昭和61年(1986年)からの数字もありますが、当時は子供の貧困率のデータは存在せず、平成21年に初めて政府がデータを発表した際にさかのぼって公表されました。
「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの世話人でもある沖縄大学教授の山野良一さんは、子どもの貧困率が長い間公表されず対策を講じるのが遅れてしまったことも、